森と香り

22 May, 2020

森と香り

「宇宙への確実な道は森林を通じて見つけることができる」とかつてジョン・ミューアは言葉を残しています。ジョン・ミューアはスコットランド系アメリカ人の自然科学者で、とても影響力がある自然保護活動家でもありました。

ジョン・ミューアは自然の厳しさ、森や自然の力を強く信じていました。 自然を守ることは地球にとっても、我々人間にとっても重要です。自然が保たれることで、私たちは自然の力の恩恵を受け、生きていくことができています。自然への感謝の気持ちは人を優しくし、周りへの配慮が生まれます。 

ウォーキング、ハイキング、トレッキングをする人が多くいるように、ほとんどの人は自然を本能的に求めています。群生する針葉樹林は色彩豊かな森になり、森の中の湿った暗いスペースでは、苔や茂みの柔らかなクッションが人々に深い思索やひらめきを与えてくれる平和な世界を作っています。森で過ごした後は、心が安らぎ、頭の中が澄み渡り、みなぎる活力を実感できるでしょう。多くの研究が、自然の中で過ごす時間が我々に幸福感をもたらし、健康を取り戻すことができると証明しています。

森林浴で、私たちは五感を通じて森のパワーを取り入れることができます。ハイキングやジョギングよりも訓練と集中力が必要になりますが、自然界とのつながりをより強く感じることができます。森の音、木漏れ日、新鮮な空気や木の香りを感じることで私たちは深く安心した気持ちになります。 日本のある研究者は、森林浴は高血圧の原因であるホルモンのコルチゾール値を下げ、感染症や炎症を抑え、免疫システムをサポートする白血球を増やす効果があると発表しています。 日本医科大学の衛生学公衆衛生学准教授のQing Li氏は木や植物から発生しているフィトンチッドという成分を研究しており、フィトンチッドに触れる時間の比較検証を行いました。研究の結果、森へ日中散歩に行く人の方が行かない人よりも健康状態がより良いことが発見されたという事実もあります。 

しかし、現代では人々は都会に集中し、屋内で長い時間を過ごす環境に晒され、自然から切り離されています。森を訪れることはもちろん屋外に出ることすら時には困難です。驚くことに2050年までに世界の人口の70%が都市に集中するとUN(国際連合)という予測や、アメリカ人は1日の93%を室内で過ごしているというデータもあります。 しかし、幸運なことに、実際に森にハイキングに行けなかったとしても、人工的に作り出された森の香りや音、写真等に触れることができれば健康に良い結果をもたらすと証明している研究もあります。 小川のせせらぎの音でストレスを和らげ、観葉植物を室内に置き、安心感を与える森の香りを感じることは日々の私たちの生活にも簡単に取り入れることができます。 

森を感じる香りには、パイン、サイプレス、ジュニパーなどの針葉樹のウッディーなエッセンシャルオイルがあります。これらの香りで、私たちは森の持つポジティブで落ち着いた雰囲気を味わうことができます。 サイプレスは常緑樹で、高さ25mにも成長します。この木の力強さは、明るく、凛とした香りからも感じることができます。 一方、ジュニパーはよりフルーティーで、ウッディーな香りが特徴です。9mほどの低木です。典型的な木の要素を感じるウッディーな香りで香りです。 パインは温かみのある香りを持った常緑樹です。木材が柔らかいためサテンのような木とも呼ばれていて、香水などによく使われています。 松は40mほどにもなる針葉樹です。香りはすっきりとして、ほんの少し甘みがあることが特徴です。 森の香りは清潔感や集中力を保つのを助け、不安やストレスを軽減させると言われています。エアアロマにはCeder Mood, Alpine Air, Breathe easyなどの森の香りのラインナップがあります。 

森の美しく静かな空間に身を寄せ、香りに触れ、雄大な景色をみて、自然の音を聞くことで、生きている感覚を得ることができます。 ジョン・ミューアの名言を最後にもう一つ紹介します。「すべての2本の松の間には新しい世界への扉が開けている」。