香りの世界への招待状

17 June, 2020

香りの世界への招待状
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皆さんは香水やアロマグッズの香りがどのようにできているのか考えたことはありますか? 香水などは一つの香りの元からできているのではなく、香料と呼ばれる様々な香りの元が混ぜ合わされてできています。香料それぞれが異なる香りや特徴を持っているからこそ、それらが混ざり合った時に香りに個性が生まれ、普段皆さんが楽しみ、親しんでいる香水やアロマグッズができあがるのです。 

例えば、有名なシャネルの5番の香水を使いたいと思ったとき、それぞれの香料の種類を知っていることでより深くその香りの世界を楽しむことができます。シャネルの5番では、すっきりとしたフローラルなジャスミンや、甘いウッド調のサンダルウッドなどが特徴です。 香水はそれぞれの香料がただ足されているのではなく、専門家のアイデアによって様々な香料が絶妙なバランスで組み合わされています。香りを作るプロである調香師は、奥深く複雑で唯一無二の魅力的な世界を、香りを通して私たちに届けてくれます。 香りは消えゆく芸術品です。時間とともに段々と変化していく香りを感じ、そのうつろいを音楽を聴くように感じることで、自分だけのストーリーを香りにのせ、イマジネーションの世界に羽ばたくことができます。 

香りを区別し、表現するためには訓練あるのみです。 香りの多くは複雑にブレンドされていますが、何を感じたかを表現するために使える方法はいくつかあります。 その一つに、香りをトップ、ミドル、ベースノートに分けて説明することがよくあります。香りはまずトップノートが香り、まろやかなミドルノートを経て、最後には魅惑的なベースノートで完成されます。 トップ、ミドル、ベースノートの区別には、香りをどのくらいの長さ感じることができるかという「残香性」が関わってきます。残香性とは香料がどれくらいのスピードで揮発するかによって変化します。例えば、トップノートの香料は一番飛びやすく、すぐに揮発するので、鼻に一番最初に届きます。 

トップノートは香水やアロマグッズを噴霧、もしくは開封後に約15分香りが持続します。ブレンドの構成の20%ほどを占めていることが多く、レモンやベルガモット、ラベンダー、ユーカリなどの柑橘系が一般的によく知られています。 ミドルノートはトップノートが揮発してから約30分間持続し、その香りの一番のメインとなる部分です。ブレンド構成の中では30%ほどを占めています。 代表的なミドルノートはローズ、ピーチ、シナモン、ジャスミンなどの フローラル系、グリーン系、フルーティー系やスパイス系の香料で構成されています。 ベースノートは約24時間持続し、香りの余韻を残します。 ベースノートは香りの文字通りその香りのベース、根幹となり、トップやミドルノートの香りに奥行きと深みを与えます。典型的なベースノートはサンダルウッド、モス、バニラ、クマルなどのウッド調で構成されることが多いです。 

香水でも、アロマグッズでも、次に皆さんが香りを楽しむ時には、ぜひ、トップノート、ミドルノート、ベースノートを意識して香りを味わってみてください。どの香りに最初に気づいたか、どの香りが一番長く感じるのか、そういったことを意識することが、香りの新しい世界への第一歩になります。 香料の種類を知ることは、その香りがどのようなイメージやストーリーを経て作られたのか、どんなメッセージがその香りに託されているのかを理解するための大切な手がかりになり、魅惑的な香りの世界への招待状になってくれるでしょう。