夏みかんの香りで町のブランディングを An Aromatic Town of Summer Oranges

03 June, 2015

夏みかんの香りで町のブランディングを An Aromatic Town of Summer Oranges

ある町の良さを広く伝えて行こうとした時、その土地の空気を吸ったことがない人にとって、町の雰囲気を想像することはなかなか難しいことではないでしょうか。しかし、その町を愛する人たちにはそれぞれの想いと町のイメージ、発信する言葉があります。それぞれの想いや言葉を、その町を連想させる「香り」と合わせて伝えられたら。そんな想いから今回、新たな試みとして、町中が夏みかんの花の香りに包まれる5月の山口県萩市で、香りによる「地域おこしプロジェクト」のイベントを開催しました。

今回「地域おこしプロジェクト」の中心となったのは、「萩/山口を語るブレンド」をテーマに、山口県萩産の「夏みかん」を使用した精油ブレンドを一般公募する「夏みかん精油ブレンドコンペティション」です。瀬戸内の温暖な気候の中で愛され育まれて来た「夏みかん」は、江戸時代に種が黒潮に乗って辿り着いて以来、山口が原産地となり、現在では「かおり風景100選」にも選ばれ、まさに山口を代表する香りとなっています。

応募者の方には、萩/山口県の歴史や文化を考慮し、それぞれがイメージする町の香りをブレンド、さらに作品とともに香りのコンセプトを文章で提出していただきました。

調香師を含む香りの専門家による厳正なる1次〜3次審査を通過した入賞者5名の方には、5月17日(日)に山口県萩市の熊谷美術館で行われた公開最終審査にて、それぞれが精油ブレンドに込めた「萩/山口の魅力」をプレゼンテーションしていただき、選考委員と会場のお客様の投票で、県内5カ所の中から空間演出する場所を決定しました。 (コンペティションの詳細はこちらをご覧下さい。)

当日は、萩市市長をはじめとする来賓の方々をお迎えてしてプレゼンテーションが行われ、審査の冒頭では、この日のために内閣総理大臣夫人 安倍昭恵さんからお寄せいただいた入賞者への激励のお手紙が読み上げられました。

プレゼンテーションの持ち時間はそれぞれ3分。ご参加いただいた皆さんは、配布された入賞者のブレンドの香りを嗅ぎながら、香りに込めた想いを聞き、それぞれ空間のイメージを膨らませていました。

そして会場の皆さんの投票によって、賞と演出空間が決まり、表彰式が行われました。受賞された5名の香りは、萩博物館、仙崎駅内観光案内所、熊谷美術館、萩市立萩図書館、湯元ハイライトホテルふじで香ることが決定しています。(表彰式の模様はこちらをご覧下さい。)

受賞者の皆様、おめでとうございます。

• 加茂尚子さん「香るとき」/ 萩博物館
• 藤本綾子さん「萩Woman」 / 仙崎駅内観光案内所
• 藤田美穂さん「We Love萩」/ 熊谷美術館
• 荒石由紀恵さん ブレンド名「藍場の結えし香」/ 萩市立萩図書館
• 河村奈美さん「萩 浪漫志香」/ 湯元ハイライトホテルふじ

惜しくも1次〜3次審査から漏れたものの、高い技術が評価された方にはエアアロマジャパンより「技術賞」が贈られました。 

• 須本愛子さん「繋志の風」 
• 羽渕宏美さん「狂愚 -自分を信じて歩いてゆこう-」

<香りとアートのワークショップ>

また、精油ブレンドコンペティションの発表が行われた日、「萩のブランディング」をテーマに3つのワークショップが行われました。タイトルは「香りとアートのワークショップ」。テーマに合わせて、「香り」「踊り」「萩焼」の特別講師3名をお招きし、3通りの視点から萩の魅力を見つめました。(ワークショップの模様はこちらをご覧ください。)

今回のイベントはエアアロマジャパンと、萩市をこよなく愛し、地元の情報を発信し続けている萩LOVEと共に行われました。通常のブランディングとは一風違う、感性を通じての地域活性化の試み。地元の方も、遠方からお越しいただいた方も、それぞれが山口県の「物語」を香りで発信するというテーマでひとつとなり、県内の空間がこの日より、少しずつカラフルになっていく可能性を大いに感じているようでした。

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On Sunday, May 17th, 2015, a special "Scent Competition and Workshop" was held at Kumaya Museum in Hagi, Yamaguchi. The competition centered around the scent of natsumikan (summer orange), a sweet fruit for which the town of Hagi has been known throughout history. Participants from around Japan incorporated the natsumikan essence into original blends that tell the story of Hagi City, and Yamaguchi Prefecture as a whole.

Five finalists were selected in the preliminary rounds of the competition, qualifying for the chance to present their scents and concepts to a room full of guests including the mayor of Hagi on May 17th.

Each of the five winners will have their scents incorporated into five prominent spaces around town, including the Hagi Museum, Hagi City Library, Yumoto Highland Hotel Fuji, Kumaya Museum, and Senzaki Tourist Information Center.

The exciting one-day event also included a 3-part workshop taught by experts of natsumikan essence production, dance, and Hagi's traditional ceramic art form, hagiyaki. Workshop attendees from near and far enjoyed Hagi culture as they had never experienced before, through scents, art, and tradition.